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会長挨拶

内藤 正則
NAITOH Masanori

私は当学会が設立された1987年に入会し、1990年から数年間、理事として学会運営に携わっておりました。昨年、ほぼ10年振りに有冨前会長の下で筆頭副会長として再度学会運営に参画し、この度、会長に就任いたしました。この間、正会員数は増加傾向を維持し、学会運営の体制等も整備されてきました。それでは従来路線の延長線で今後も学会は安泰であろうか、と考えた時、私は、むしろ逆に危機的状況を迎えつつあると危惧しています。表面的な数字として、当学会の趣旨・活動にご賛同いただいている法人の維持会員数が、ここ10年間減少の一途を辿り、現在はピーク時の3/4になっているという事実があります。これは、時代の流れに影響されているためでもありますが、今の仕事、明日の事業化に懸命となっている企業にとって、当学会の活動がそれほど評価されていないことの現われと見ることもできます。また、正会員のうち企業の研究者・技術者の割合は1/4弱となっています。混相流は産業・環境・医用、他、幅広い分野に共通する学問・技術であることを考えると、これはかなり低い割合です。このような状況の下で、学会運営上重要と考える当面の課題を二点申し上げます。キーワードは、「継続と改革」と「財政基盤の確立」です。

混相流という学問・技術分野に身をおく個々の研究者、技術者にとって魅力のある学会にするとともに、特に民間、産業界から見て魅力のある施策の実行が求められています。混相流の専門家集団である当学会が、産業界等における実用化研究に寄与することで社会に貢献する、これは学会の重要な役割の一つと言えます。幸い、マイクロ・ナノバブル技術に代表されるように、当学会が寄与することによって、実用化を目指した新産業の

創出という芽が見え始めています。このような新たな産業創出に寄与できる芽を大きく発展させるとともに、既存の産業・環境・医用等の分野においても、その活性化に寄与することにより、当学会の存在や活動内容を広く認識していただくことが、今後の学会発展につながると考えています。

もちろん、混相流の真理の追求という観点から基礎研究を継続・活性化させること、及び教育や人材育成に寄与していくことも当学会の主要な役割であります。しかし、今、求められているのは、言わば社会との橋渡しとしての当学会のミッションを重点的に推進することだと思っています。

このような社会貢献を主眼とした施策と密接に関連する、もう一つの重要課題が「財政基盤の確立」です。当学会の財政は、ここ数年間は赤字体質が続いており、講習会や年会講演会等の事業収益によって何とか収支バランスが保たれている状況です。基本的な考えは、「学会活動の強化・活性化」によって「財政基盤を確立する」という点にあります。さらに、定常的な健全運営のためには、会員数の増加、特に民間企業の会員増加、維持会員の増加を図る必要があります。そのための活動を具体的に推進したいと考えています。

一年間で目標完遂は困難と思われますが、上記した二つの重点課題への対応を軌道に乗せるべく努力します。

今年度は、辻裕教授が筆頭副会長に就任され、奈良林、清水両副会長、そして10名の理事、10名の委員会委員長が一丸となって学会の運営をして参ります。しかし、役員だけで学会を運営できるものではありません。会員の皆様方のご協力と積極的な運営への参画をよろしくお願い申し上げ、会長就任の挨拶といたします。

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