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会長挨拶

菱田 公一
HISHIDA Koichi

日本混相流学会は2013年に25周年をむかえました。この伝統ある学会の会長に推挙され、大変光栄に存じます。と同時にその責務の重さを強く感じている次第であります。前任の秋本会長の手順を踏んだしっかりとした学会運営を継承しつつ、次世代の混相流の学問体系を見据えながら、学会の発展に寄与できればと考えています。

今年は混相流学会にとって、国内外で大きなイベントがありました。一つはICMF(International Conference on Multiphase Flow)です。この国際会議は1991年に筑波大学の松井剛一教授の強い思いで始められた国際会議で、その後1995年に京都大学の芹澤昭示教授が2回目を開催されました。そして今回アジア地区に戻ってきて初めて日本以外の国として、韓国で開かれました。3年ごとの開催で8回目を向かえ、参加者も数百名規模まで発展してきました。我が国の混相流分野の学術研究として国際会議を通じて議論してきたことが実を結ぶ結果であると思うと同時に、さらにしっかりとして学術基盤を構築していき、国際社会への貢献を果たさなくてはいけないと感じています。また、国内の会議に関しては、本年度より、新しい形での混相流シンポジウムの開催となり、学術会議主催の理論応用力学講演会の幹事学会もつとめるようになりました。そのような集会の場で若手研究者による活発な議論の場が提供できています。

本会は、界面を有する媒体の流動に関連する学問領域を扱うもので、機械工学、土木工学、化学工学、原子力工学など様々な分野に及んでいます。その中で保存則に基づく精緻な力学体系を積み上げ、今日に至っています。最近では分子動力学レベルから連続体に至るまでの解析も可能になり、適切なモデル化も行えるようになってきました。また、計測技術の超高速現象の撮像が可能になり、さらにナノスケールの可視化もできるようになってきております。このような背景のもと、次の時代の進展を求める上で、しっかりとした学術基盤を改めて構築していく必要を強く感じております。本年度の学会運営においては、この点に留意し、特に次世代をになう人材の意見が反映されやすいシステムをできるだけ取り入れて行きたいと考えております。

本会の持続性を議論する上で財政の健全化はきわめて重要な課題であります。既に25年の間、学会費は値上げをせずにここまでやってこられたのは員諸兄のご協力のたまものであると感謝いたします。しかしながら、今般この課題は避けて通れないものであると判断しております。もちろん、学会運営を行う理事会の効率化と共に、さらに会員サービスなどをしっかりとするための事務局の強化を早期に改善すべく努力する所存であります。今後の皆様のご支援・ご協力をお願いする次第です。

慶應義塾大学研究連携推進本部 本部長 理工学部システムデザイン工学科 教授
〒223-8522 横浜市港北区日吉3-14-1

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